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★No.6  料理の話は世界共通・南アフリカ編 ・

 今年の春、ラグビーチームの親善試合の帯同で南アフリカに行きました。名古屋を出発して香港で乗り換え、片道約24時間の長旅。旅行好きで飛行機移動も苦にならない私でさえ時間を持て余すほどでした。さて、南アフリカでは、3つのホテルに滞在しました。滞在期間中の食事内容は、事前にホテルのシェフと打ち合わせをしてチームの要望を伝えてありましたが、実際にどんな料理がでてくるのか心配でした。また、海外での食事のサポートは始めてでしたので、予想がつかないことも多くありました。今回は短い滞在期間中に3ヵ所を移動して3試合をこなすというハードスケジュール。とにかく、食事が原因で選手の体調が崩れることの無いように神経もピリピリしていました。滞在して数日経ち日本食が恋しくなった頃、ホテルのシェフに日本料理のリクエストを伝えると「厨房を貸しますから調理してもらってもかまいませんよ。必要なものは用意します」との回答。そこで、日本から持ってきたうどんを茹でたり、チャーハンや照り焼きを作ったりしました。大量調理の経験のない私は、50人分の料理を作るのは初めて。それでも何とか目分量で作りそれらしい味に仕上がりました。ホテルの料理は、どれも美味しいのですが、やはり恋しくなるのは「醤油味」。持参した醤油とみりん・本だしが大活躍しました。厨房で調理をしていると、現地の調理人が興味津々で話しかけてきます。「何を作るの?」「この食材は何?」と聞かれ、私も、「こんなものを作りたいけど、お肉はどれを使ったらいい?」など会話を楽しみながら仕事を進めました。仲良くなった一人のシェフには美味しいラザニアの作り方も教えてもらいました。このように、「料理」という共通の話題を通じて国も人種も違う人達と話をすることができたことは良い思い出となっています。厨房での調理にも慣れてくると、午前中から買い出しに行き、毎食1〜2品の日本食を提供しました。最後のホテルでは選手の大好物のカレーライスに挑戦。大きな鍋を使って目分量で野菜や肉を入れてグツグツと煮ました。最後にカレールーを入れたところ、煮ても煮てもとろみがつかず、野菜スープのような状態。今日の夕食はカレーだとみんなが楽しみにしていたので、とても焦りました。夕食まであと10分。困っていたら、ホテルのオーナーの奥さんがやってきて、「コーンスターチを入れれば大丈夫よ」といって、コーンスターチを水で溶いて、スープ状のカレーの中に入れてくれました。すると、少しずつとろみがついてカレーの状態になってきました。日本でいう水溶き片栗粉を入れた状態。何とか夕食に間に合い、みんなに喜んで食べてもらった時はホッと胸をなでおろしました。そんな私の姿を見て、オーナーの奥さんはそっとウインクをしてくれました。言葉も食文化も違う国でのこの体験は、忘れられないものとなりました。何より、現地の方の心温かい気遣い、心配りには感動さえ覚えました。機会があれば、また行きたい国です。


手前から、雑炊、肉じゃが、野菜炒め、チキンライス。
中でも肉じゃがは大好評。あっという間になくなりました。


手前から、味噌汁、うどん。
粉末のスープの素、顆粒の味噌は重量規制のある海外遠征には必需品です。



レストランの厨房にて。みんな鼻歌を歌いながら、
陽気に仕事をしていました。とにかくつまみ食いが多い。
この体格を見て納得!?

 

 

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