【第6回】
1)日時:平成16年8月29日(日)
2)テーマ 「合宿・海外遠征における食事調整方法」
3)参加人数:11人

スポーツ選手の多くは一年に数回、合宿や海外遠征を経験します。最近では、小学生のクラブチームでも海外遠征を行うチームが増えてきました。そこでの食事内容は体調を維持するために重要になってきます。合宿・遠征の目的、宿泊先、スケジュールに合わせた食事調整をどのように行ったらよいのかを今回は勉強しました。主催者が今年、ラグビーチームの遠征に帯同した際の写真・ビデオを紹介しながら話を進めました。
1.
合宿の目的を把握する
合宿、遠征を行う場合は、その「目的」がチームにはあります。その目的を知ることも食事調整を行う上で大切です。選手の年代が低い場合、合宿中の食事は「好き嫌いなく何でも食べられるようにする」「海外での食事に慣れる」ことを目的にすることがあります。その場合、食べやすいもの、選手の好きなものばかりをそろえることは目的に沿いません。食事調整を行う前に、監督・コーチに目的についてよく話を伺うことが大切です。
2. 栄養士の役割
1)
食事内容の調整
宿泊先によってすでに献立が決まっていて、ボリュームを増やしたり、オレンジジュース、ヨーグルトをプラスするといった調整しかできない場合があります。一方、パンの種類からお味噌汁の具まで指定する場合もあります。どちらにしても、「最低限これだけは必要」という食品をまとめておき、状況によってアレンジしていくことが大切です。また、「これしか駄目」「必ずこれを出してください」と言った調整の進め方はあまりお勧めできません。
2) 選手の体調管理(体重・体調)
選手の体重の変化、体調を把握することは食事内容がどうだったかを確認する上で大切な情報となってきます。体重が増えてきている選手が多い場合、脂肪分の多い調理方法、食材に偏っていないかを見直します。逆に体重が減ってきている場合は、食欲がない選手でも食べられるような料理が出ているかを見直します。合宿中に変更が出来る場合はこのような選手の体重・体調の変化から献立内容を変更して頂くこともあります。
3) 食事指導の実施
合宿期間中は、夕食後など比較的時間があります。また、全選手が揃っているのでこの機会に食事指導(個人面談)などをするとよいでしょう。私も、今回オーストラリア合宿中に各選手に個人面談を行いました。いつも、あまり話をしない選手とも話ができ、普段接しているだけでは気が付かないこともありました。また、食事会場にポスターを貼る、食事カードを作って料理の説明をするなど、アイデア次第でいろいろなことを試みることができます。(写真参照して下さい)


3. 食事調整の進め方
ここでは、あくまでも例として食事調整の進め方を紹介しました。環境、予算などによって調整方法は変わってきます。
1) チームのスケジュールの確認
↓
2) 宿泊先の担当者の確認 (メニューの打ち合わせ 予算の調整 現場で対応 等は誰なのか?)
↓
3) メニュー案を提示してもらう
↓
4) メニューの要望を伝える
↓
5) 予算の調整を行う
4.
合宿中の食事風景
↑南アフリカで日本食を作って提供しました(チャーハン、肉じゃが等)

↑厨房で一緒に料理作りを手伝ってくれたスタッフ

↑一番人気のうどんを提供。乾麺と粉末のつゆを持参して作りました。お箸も必需品!
5. まとめ
・ 宿泊施設、環境を事前によく把握する
・ 現場で何ができるかを予想して準備をしていく
・ 担当者とのコミュニケーションを大切に
・ 次に役立てる為に、しっかり見る、聞く、食べる
・ 「作ってもらう」のではなく「作っていただく」気持ちを忘れずに
今回の勉強会は主催者(MAMIYA)が経験してきたばかりのホットな情報をお伝えすることができました。今後も、実際にスポーツの現場で栄養士がどのような仕事をしているのかを具体的に紹介していきたいと思います。
●簡単レシピの紹介
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<ミネラルたっぷりおからクッキー>
(選手からも大好評だったおいしいクッキーです!)
★材料
・乾煎りのおから 100g
・無塩バター 60g
・砂糖 60g
・はちみつ 大さじ2
・卵 1個
・薄力粉 100g
・ベーキングパウダー 大さじ1/2
・ドライプルーン 3個
・じゃこ 20g
・いりごま 4g
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★作り方
(1)おからは乾煎りにする
(2)バターは室温で柔らかくする
(3)薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく
(4)プルーンは4等分に切り、じゃこは乾煎りにしてごまと合わせておく
(5)オーブンは180度に温めておく
(6)ボールに(2)を入れ、クリーム状にする。そこに砂糖、はちみつ、卵を
加えて混ぜる
(7)(6)に(1)のおからを入れる
(8)(7)に(3)の粉を加えてさっくりと混ぜる
(9)(8)の半分をオーブンシートをひいた天板に12個のせ、上からプルー
ンをのせる
(10) 180度のオーブンで15分程度焼く
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※最後に、アンケートから参加者の方の声を紹介します。
・遠征についての内容や食事面というのは本などでもなかなか知ることができないのでよかったです。遠征で必要なことでも、食事内容で気をつけることなどは遠征以外でも言えることだと思いました。スポーツ選手をサポートしていきたい気持ちが強くなりました。
(鈴木梨江)
・具体的な内容ですごく分かりやすく勉強になりました。今の仕事にあまり満足できていない部分があるんですが大量調理も今後の勉強になるということなので頑張ろうと思いました。(軸丸裕香) |
※参加者の皆様にはアンケートにご協力して頂きありがとうございました。参加者のご意見・ご要望は今後の活動の参考にさせて頂きます。
※勉強会に関するお問い合わせはこちらまで:ymamiya@spice.or.jp
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